紛争下の強く美しい少女たち/サラエボ包囲【ボスニア・ヘルツェゴビナ④】
≪2014年冬 ボスニア・ヘルツェゴビナの記事です≫
↑ お昼ごはんはボスニアの煮込み料理。
せっかくここまで来たので、少しお勉強をしようと思います。
サラエボ中心部にある「ギャラリー11/07/95」には、1995年7月に勃発したスレブレニツァの虐殺やサラエボ包囲の当時の写真や映像が展示されています。
映像は英語もしくは英語字幕でしたが、外国人向けに分かりやすくしてあり、8割くらいは理解できました。
カラーのビデオに収められた近代の戦争の様子は、壮絶でした。
食料や水を確保するため、銃弾が飛び交う中、頭を庇いながら路地を走り抜ける住民の姿。
兵士と市民の泣き顔。遺族へのインタビュー。
落書きだらけ、ゴミだらけ、瓦礫だらけの路地裏の車の中で歌う少女たち。
過酷な状況下に置かれてもなお、強く美しく、逞しい。
まだ中学生かそこらの少女が、大人びた表情で遠くを見つめ「ここには何もない」と。
街角の「Welcome to Hell」の落書き。千切れて組織がむき出しになった脚。そこら中に転がる死体。道端に染み付いた血を水で洗い流す人々。
人間たちの、人間たちによる、人間くさい実録。それも、ほんの30年前かそこらの話。
「異なる民族も異教徒たちも、憎み合ってはいない。これは決して民族紛争ではない。
一部の愚かな政治家たちが始めた戦争だ」
これがすべてなのだと思います。
考えてみれば当たり前なのですが、戦時下とはいえ、市民の生活がたしかにそこにあり。今とさほど変わらない街を背景に、ありえない形になった死体が道端に重なり、ビルや電車が燃えてひしゃげて、放置されている。
途中、とても見ているのがしんどくて、それでも人間が犯した過ちから目を逸らしてはいけないと、なんとか最後まで見終えました。
この映像は、日本の戦争を知らない世代をはじめ、全人類が見るべきと感じました。
一方で、戦争の映像や写真を見ることは家に居ながらできても、実際にその地を踏んで、現地の空気を吸ってこそ、感じられることがある。
海外旅行は、大人の、最高に贅沢な社会見学だと思っています。
ボスニア・ヘルツェゴビナ最後の夜です。
↑ ソンくんとセビリ
そこでとあるトラブルに巻き込まれるのですが・・・・(次回に続く)
韓国人バックパッカーのソンくんとの出会いはこちら